寝苦しい夏の夜と妻(仮)が風邪をひいたらしい話
おばんです。
妻(仮)が隣で洞穴の中から吹き出る風のような音を立てながら若干苦しそうに寝ている。
どうやら夏風邪を引いたらしい。
起きている時に、何とか治す方法がないものかと尋ねてみたが、妊婦は風邪薬を飲めないからとだけ言って、特になんの対策もする気は無いらしい。
そんな話をしていたらちょうど薬用養命酒のCMがテレビから流れた。
そうだ、妊娠中は薬は飲めないが漢方は大丈夫だと聞いたことがある気がする。
「養命酒ならいいんじゃない? ほら、滋養強壮にいいって聞くし。今後は体力も必要だから飲んでみたら?」
「養命酒? それってお酒じゃん」
「……。」
そうだね、アルコールはダメだよね。
今軽く調べてみたら、養命酒の公式曰く、飲んでも大丈夫かどうかはその人のアルコール体質にもよるので、決して飲んではいけないことはない。少なくとも養命酒の生薬成分には胎児に悪影響をおよぼすことはないとのことだった。
なんかよくわからなかったが、結論、ちょっとでも悪影響が出るかもしれないことはしないほうがいいよね。
そう思いつつ、妻(仮)が味に飽きたと言って大量に余らせた葉酸入りキャンディを舐めながら妻(仮)の髪を撫でてあげる。
ちょっと嬉しそうな顔をした後、「フゴッ!」というすごいいびきを返された。
うむ、今日も僕は愛されているなぁ。
んでは、まず。
夢を見る僕と僕の話
僕はむかしから寝るのが好きな子供だった。
日中に干してふかふかでぽあぽあする布団が大好きだったし、寝ている時だけみることができる夢の世界はどんな映画や本よりもドラマティックでエキサイティングに感じた。
小学生の僕は典型的な早寝遅起きだったで、夜の10時が活動限界だった。そうするとなにが起こるかというと、金曜ロードショーで放送されている映画が最後まで見れないのだ。ジョン・トラボルタがどんなに派手な戦闘シーンを繰り広げていようが、パズーがどれだけ「シーター!!」と叫ぼうが、10時を過ぎた時点でもう僕の脳みそは新たなる夢の世界へと旅立ってしまっていた。
当時の僕はこのことをたいへん残念に思っていた。でも、いつかは自分もおとなになり、どんなに夜更かしをしても元気マンマンな体になるのだろうと確信していた。だからこそ、まだこどもである自分はおおいに寝て、今後体験するであろう深夜の時間に耐えうる強靭な体をつくり出そうと自分に言い聞かせて眠りについた。
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