二歩サガリ。。

同い年より、2才年下、二歩サガリ。 

“得体のしれない”ということが唯一にして絶対の恐怖だと思う(小説『生存者ゼロ』を読んで)

 おばんです。

 だいぶ前に読み終わってはいたのですが、そういえばまとめていなかったのでそろそろ書きます。

 前半は小説の感想、後半は“恐怖”に関して僕が思ったことを書きます。興味のある方をお読みください。両方読んでいただけたら、僕は嬉しくて身体から細菌を放出します。

  

あらすじ

 北海道根室半島沖の北太平洋に浮かぶ石油掘削基地で、職員全員が無残な死体となって発見された。救助に向かった陸上自衛官三等陸佐の廻田と、感染症学者の富樫博士らは、政府から被害拡大を阻止するよう命じられた。北海道本島でも同様の事件が起こり、彼らはある法則を見出すが…。未曾有の危機に立ち向かう!壮大なスケールで「未知の恐怖」との闘いを描くパニック・スリラー。2013年第11回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。

(Amazon商品の説明より)

 

 

それはさながらパニックサスペンス映画のよう

 このミス大賞ということで、たまたま親を迎えに来ていた東京駅構内の某カレー屋さんで特になんの下調べもせずに購入。

 まず第一印象としては、とにかくテンポがとても良いです。そのテンポの良さは、場所ごとにさながら三谷幸喜監督がよくやるワンカット流し撮りで見せられているかのようにように物語が進んでいきます。

 しかし、他の書評でも見かけましたが、専門用語の多さには多少辟易させられます。僕の場合は、あまり細かいことを気にしないたちなので、分からない物はわからないまま読み飛ばしてしまうのですが、気になる人にはとても読むのがつらくなってしまう大きな要因であると思います。

 また、序盤はそのテンポの良さを遺憾なく発揮しているのですが、敵の正体が見えてくるとともに、だんだんと先が読めてしまい、なんとなく犯人が分かってしまったサスペンスドラマを見ているようで残念でした。

 途中、主要な登場人物が増えたりして、「おっ!?」と思ったのですが、まぁ、その、後はぜひ読んでみてください全然読ませる気無いですねw

 あと、これは東日本大震災時の政府の対応を批判、もしくは揶揄しているんだなぁと思うところが多々あるのですが、だいぶ多々あります。多々々です。

 ですが、約500ページと文庫本にしては厚めな割に、一気に読ませるその文章力は本物ではないかと思います。

  出張で北海道に行く方などは、移動のお供として読んでみるのもいいのではないでしょうか。

 

 

 と、ここまでが小説の感想で、ここからはなんとなく僕が思ったことをだらだら書きます。

 

 

“得体のしれない”恐怖との戦い

 人が怖いと感じるモノの根本には、“得体のしれない”必ず含まれていると思います。幽霊だって得体が知れないから怖いのです。もし、幽霊にコミュニケーション能力があり、会話することでその幽霊の事を理解することができたら、間違いなく、幽霊は怖いものではなくなるでしょう。

 

       

 

 他の恐怖の例でも、例えば、酒を飲むと暴力をふるう父親がいたとしたら子供は恐怖を感じるでしょう。単純に、痛いことが嫌だ⇒恐怖 ということかと思いますが、根底には、なぜこの父親は自分に暴力をふるうのかという疑問があります。それこそが“得体のしれない”ものです。

 もし、まぁまずそんなこと現実では無いと思いますが、親が暴力をふるう原因が全てわかっていて、お酒の力も十分理解している少年がいたとしたら、その少年は恐怖を感じないのではないでしょうか。まぁもうそれは悟りの域に入っていると思いますが。これがサトリ世代?!

 

 このように、恐怖という事象根本には、“得体のしれない”が必ず内包されているのです。だから、『得体のしれない恐怖』という表現をよく見かけますが、それは当たり前の事なんですね。だって、恐怖は全て、“得体のしれない”ものなんですから。

  

      

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